8.20「だんこん」
あらすじ
「一緒に……溶け合って、くれるんだねッ?!」砂川さん、イベント観戦。新キャラというか新たなカテゴリーが登場します蠱惑的な8話20節。
砂川を読む
Time
13:00
Stage
武蔵大 特設会場
【実行委員】
「それではぁあああああああああああ、毎年恒例えぇえええええええい、紫上学園さん連携の諸々コンテストを開催、するぜえぇえええええええええええええええいい!!!!」
【客】
「うええぇええええええええええええええええいいいい(←酒気)!!!!!」
【鞠】
「…………」
客の質、大丈夫なのかなこの最高峰大学……?
私一応ここ進路志望してるだけあって恐ろしく不安になってきていた。
因みに特等席いわば来賓エリアは、ステージを北側とすると、西側に位置していて、観客は南側の即席ベンチに詰めて座っている。ということであの酒気に直接絡まれることはなくて一安心。
【実行委員】
「これから行われるのは、ミスターコンテスト、ミスコンテスト、マッチョコンテストなどなど、毎年好評いただいている伝統の選抜!! 他にも色々用意してるから是非最後まで楽しんでくれやあぁああああああ!!!!」
マチョコンは要らないと思う。
【実行委員】
「ではここらで遊びに来てくれた紫上学園生徒会、略して紫上会の会長から一言戴きたいと思います。どうぞおぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」
遊びに来たわけじゃないし紫上会は略称ではないのだけど、そんなことよりこの、いきなり天敵ばかり居る荒野に投げ出された感触どうにかならないかな。怖い辛い。
とか思いながら立ち上がりステージに上がり、司会の人からマイクを受け取る。
【鞠】
「……ご紹介預かりました紫上会会長砂川と申します。今年度もこうして武蔵大学様とコラボ企画を組み、より広く密接に皆様と交流を図ることができるのを光栄に思います」
【笑星】
「うわぁすっごいお世辞ー」
シャラップ雑務。
【鞠】
「今日、明日と我ら紫上学園も文化祭を開催しております。勝ち負けが設定されているからか、どの出し物も可成りクオリティが高いです。よろしければ是非、遊びに来て下さい」
こんな感じで私からの言葉、終了。ノルマ達成。
【客】
「「「会長っ会長っ会長ッッ――!!!」」」
ただ特段面白いこと何も云ってないのにそのコールやめて。
そそくさと戻り雑務の隣に帰る。
【笑星】
「お疲れー、すっごい優しいコメントだったねー」
【鞠】
「嫌味がマシに聞こえてくる」
【笑星】
「別に嫌味じゃないけど……でも、こんな大舞台緊張するなー。大丈夫かな邊見」
……抑も何で彼は男コンなんかに出場するのかが私的に謎なんだけど。
これから行われる連携イベントは総て、コンテストポイントの対象試合となる。なので当然のように多くの団体が多くのコンテストにエントリー。それ全部を通してると数が多すぎて武蔵大も困っちゃうので、誰がこの舞台に立つかの予選会を1回やった。いや私は関与せず提案しただけで文化祭実行委員が後は全部やったのだけど……それで突破した数名が今此処に来ている。
前提として勿論立候補制なので、コンテストポイントが懸かってるからといって彼が予選を勝ち抜いて此処に立とうとするっていうイメージが、ちょっと私には湧かなかった。
【笑星】
「邊見、嫌なら断ればよかったのにー優しいんだからなー本当」
【鞠】
「謎は解明された」
【笑星】
「え?」
【鞠】
「何でもないです」
優しすぎるのは損だと思う、場合によってはちょっと聴取した方がいいかもしれないかな。
そんな、勝ちに来てる紫上学園のイケメンばっかが集う……1日目の男コンが始まった。
【実行委員】
「イケメン、かもーーーーーん!!!」
演出の煙が盛大に噴出される。
……それが総て消えて景色が鮮明になると、既にステージには精鋭たちが立ち並んでいた。
紫上学園からは7名、武蔵大も7名。計14名となる。
【観客】
「「「きゃあぁああああああああああああああああ!!!!」」」
観客、歓喜。但し7割は男性である。
……伝統って……。
【邊見】
「う……ううう……」
【六角】
「はーーーっはっはっはっはっはっは!!! 待たせたなあぁああああああ武蔵大ぃいいいいいいいい!!!」
緊張からか、雑務の親友、ちょっと顔色悪そうだった。
あと元会長!! 紫上学園と私の汚点になるから大人しくしてて!!
【観客】
「「「六角ぅうううううううううううう(←歓喜)!!!!」」」
そしてこのいつもの対応ッ。
【笑星】
「おお……流石六角先輩、学外でも人気者だ!」
【実行委員】
「前年度の男コンを震撼させた伝説の男も、1年ぶりに登場だーー!!! 一方こちらも……いつもの男が参☆上!!!」
【観客】
「きゃーーーーーー!!!」
【観客】
「帯刀さあぁああああああああん!!!」
……六角コールが鳴り止まない中で、もう一つの勢力があるのに気付いた。
明らかに……あの人だろう。あの人だけ何か、オーラが違う。
【帯刀】
「やあ、1年ぶりだね……ベイビーたち☆」
【観客】
「「「きゃあぁああああああああああああ♥♥♥(←卒倒)」」」
【鞠】
「……………………」
凄まじい鳥肌がッ。
もう此処から脱出したいんだけど!
【実行委員】
「前年度激闘を繰り広げた紫上学園が生んだモンスター六角碧叉と武蔵大四天王の1人帯刀桃之助が、再び同じ舞台に立ったあぁああああああ!!! 果たして今回はどんな名勝負を繰り広げるのかーーー!!!」
【笑星】
「む……武蔵大四天王? 何ソレ?」
【来賓】
「武蔵大学には当然選りすぐりのエリート学生ばかりが集うが、更にその中でも何かが擢んでているスターが存在する。これも集団社会である以上当然ではある」
突然隣の来賓のお爺さんが語り出した。
【来賓】
「更に更にそのスターの中でももっとぶっ飛んでいるスター、それが武蔵大四天王なのだよ。たまに4人じゃない年度もあるが、今年はしっかり4人だね」
【笑星】
「ってことはあの帯刀って人は、すっごいんだ。会長どう思う?」
【鞠】
「関わりたくない」
でも確かにそういう括りの学生が居るのは知っている。何で知ってるかというと、ただ周りがそうあだ名感覚で位置づけてるわけではなく、連携を図る中で彼らにVIPポイント権限を与えるなど、思いっ切り大学側が1括りとして公認している。可成り権力者とも云えるだろう。
最初そんな凄い4人と私会わなきゃいけないのかなって思ってたんだけど、要はこういう奴なのか……。神聖さが先入観からずり落ちてただただ残念な気分だ。
【実行委員】
「それじゃルール説明始めまーす」
【帯刀】
「やあ、六角くん!! 今年も来てくれたんだね!!」
司会そっちのけで選手たちが……ていうか実質2人だけど、コミュニケーションし始めていた。秩序が行方不明。
【六角】
「桃さん、相変わらず元気っすねえ!! ほんと1年前のまんまだな!」
【帯刀】
「おお……また、逞しくなったんじゃなかあい?? 君は、良い意味で変わったよ……僕は嬉しいなあ」
四天王、ナチュラルに元会長の腕やお腹を摩り始めた。
【鞠】
「……………………」
悪寒がした。
【笑星】
「お……おお……! 艶やかなコミュニケーションだ!」
【鞠】
「どの辺が艶やか……?」
【帯刀】
「六角くん、腹筋を見せておくれよ……っ!」
【六角】
「って云ってる間にもう捲ってるじゃないすかー、その強引さも変わらないっすね。力入れるっすよー、フンッ」
【帯刀】
「ああ……!! 六角くん、その細身に関わらずなんて艶やかな、シックスパックッ……!!これがカレーのルーだったら、今頃僕はもうまろやかに蕩けきっているよっ……!!」
【六角】
「莫迦だなー、腹筋がカレールーだったら溶けてるの俺の方でしょうに」
【帯刀】
「一緒に……溶け合って、くれるんだねッ?!」
【鞠】
「――――――――」
思わず雑務の服の裾引っ張る。
【笑星】
「え、どうしたの?」
【鞠】
「逃げましょう……別のとこ行きましょう……」
【笑星】
「いやでもまだ邊見の活躍が――」
【鞠】
「――!!」
そうだった……!
前会長の、隣には……!!
【帯刀】
「おや……君は、初めて見る顔だねー。初めまして☆」
【邊見】
「ッ……! は、初め、まして……」
【帯刀】
「おや? ふふ……緊張してるのかな? ガチガチだね、心配しなくていいよ☆ 君を脅かす者は、此処にはいない。仮に居るとしても――(←両腕掴む)」
【邊見】
「――!?」
【帯刀】
「――この僕が……まもって、あげるよ☆」
【鞠】
「……!?」
!!!!!!!
!WARNING!
!!!!!!!
【帯刀】
「ああ……何て柔らな二の腕っ……! これではまるで女の子じゃないか……!! だけど、それも良し、六角くんとはまた異なる――至高の艶やかさだ」
【邊見】
「ヒッ……や……やめ……」
【帯刀】
「この子は何てお名前なんだい、六角くん!!」
【六角】
「邊見。1年っすよまだ」
【帯刀】
「ICHI☆NEN!! それ故の幼さ、何処か男性としての筋骨が眠っているような気がするが、それが総て覆い被さっているが如き……視界の背徳ッ。邊見くん、君は――君は、逸材だあぁあああ!!!」
【邊見】
「あ、あの……やめ、はな、は離し――!?」
【帯刀】
「邊見くん――是非☆電話番号と住所を僕に教――!!!」
【鞠】
「しっかああああぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁくッッッ!!!!」