4.03「大変」
あらすじ
「ここで1ヶ月分の鬱憤を、信長に晴らしてもらうぜ!!」砂川さん、体育祭と対峙。でも当日にはまっだまだ至らない4話3節。
砂川を読む
Time
15:30
Stage
紫上会室
【笑星】
「鞠会長、長距離走やるんだよね!! 頑張って!!」
【鞠】
「……………………」
【信長】
「笑星、追い打ちをかけてやるな……」
心が死んで、事務的仕事が捗る捗る。
どうだろう、紫上会の仕事頑張ったら免除とかされないかな。そういうパターンを作り出せないだろうか。……無理だろうな。
【深幸】
「おいおい、真理学園の血でも滾らせろよ。野生のパワーというかさ。そういうのあるんだろ?」
【信長】
「深幸……!」
何かチャラ男が調子に乗って何か云ってる気がするけど、心が死んでてよく聞き取れなかった。まあ、どうせ必要無いことだろう。
【深幸】
「いい気味、そして丁度良い機会だ! この学園の主役に、お前単体はなり得ないってことを今回の体育祭で思い知りな芋女!」
【笑星】
「おお、何か今日は張り切ってるね茅園先輩!」
【深幸】
「1ヶ月くらい張り切ってやるよ! 何てったって、誰が本当に煌めいているのかが分かる、貴重なイベントだからな!! ここで1ヶ月分の鬱憤を、信長に晴らしてもらうぜ!!」
【信長】
「お前が晴らすんじゃないのか……」
私や書記本人の気持ちそっちのけである。
【四粹】
「そういえば……もう今年度のチーム編成が決まりましたね」
【笑星】
「俺、青龍!! 玖珂先輩は?」
【四粹】
「同じく青龍に……しかし何故か団長になってしまいました」
【笑星】
「おお!! 団長!!」
【信長】
「俺と会長は白虎だが……深幸は?」
【深幸】
「お、仲間じゃん。俺と信長の黄金コンビがいれば敵無しだな!!」
【信長】
「そんなことはない気がするが……ていうか同じチームじゃないか……」
勝負するつもりもないし抑も同じチームだし。ほんとワケ分からないムカつくチャラ男である。
……だけど、実際この体育祭というイベント、私は絶対無視していられないものだ。
LHRにて思いふけたように、私は長距離走という、長い時間トラックを走らされて、しかも観客に晒され続けるという大変目立つ種目への出場が決定してしまった。もしこれでカッコ悪い姿を見せようものなら、「会長は輝く者」文化が蔓延るこの学園に、絶対莫迦にされる。
最近少しは止み始めていた真理学園に関する風評がまた盛大に再燃しかねない。私は、兎に角勝者の風を吹かせ敗者の口を開かせないようし続けなければいけないのだから。
……体育祭の個人的な準備が必須になったわけだ。
【鞠】
「…………」
――デスク脇に置いていたスケジュール帳を開く。テキトウに設けたやるべきリストに、新しく書き込みつつ……整理する。
今月やるべきことは……
- ・4月に処理できなかった作業
- ・4月処罰者の各調査
- ・部活等団体の予算完全版の作成
- ・部活等団体のイベントにおける斡旋諸々
- ・他企業との提携打ち合わせ及び資料作成
- ・新年度学園案内イベント等計画と資料作成
- ・体育祭開催にともなう近隣への周知活動および企業提携
……少なくともこれらは5月中絶対外せない仕事なので、個人的な事情――中間試験や体育祭練習よりも気を抜いてはいけないと云うべき。
中間試験は大丈夫かな……と思ったりもするけど、矢張り授業に合わせるという問題傾向の癖が怖いので、兎に角授業はサボれない。まだ私にはカンニング疑惑があるようだから、結果発表式でもってそれを完全に晴らしにいきたい。
それで、長距離走の対策をしていかなきゃいけないから……ああ、寝れそうにない。睡眠は作業効率化の基本だから外さないが、時間が無いのは確か。
【鞠】
「……お泊まりは確定、か」
今度は4日じゃ済まないな……。