4.25「ダンス応援」
あらすじ
「「「ソーラン!! ソーラン!! ソーラン!!」」」砂川さん、特に何もしません。しかしソーラン!! ソーラン!! ソーラン!! な4話25節。
砂川を読む
Time
13:45
【司会】
「プログラムナンバー11、ダンス応援! これから各チームが自チームの応援の意味を込めて、精鋭がダンスパフォーマンスをします! そこで、観客の皆様に再度お願いします! 応援するチームに、多大な声援をお送りお飛ばし下さい!! 最も盛り上がったチームに最高得点が舞い降ります!!」
紫上学園、独特な競技筆頭――ダンス応援。
グラウンドの中央に設置された円形のステージ。ここに精鋭とやらが立ち、パフォーマンスする。その周りに学生が、トラックの周りに観客たちが囲んでパフォーマーたちに声援を送る。
準備体操の時と同様の順位基準。得点は70点と長距離やクラスリレーと比べたら魅力は無いが、弛んできたモチベを戻すには丁度良い盛り上がりを作り出す大事な種目だ。
まあ、私はゆったり自分の席で眺めますけどね。
【司会】
「くじ引きの結果、朱雀、玄武、青龍、白虎の順番で披露します。それでは……お待たせしました、朱雀ダンスチーム「ソーラン魂」、パフォーマンスを始めてください!!!」
【観客】
「「「おぉおおおおおおおおおおおお――!!!」」」
【璃奈】
「おねーちゃん、にー、いつ?」
【鞠】
「……彼は白虎、ですから4番目です。1番最後ですね」
【瑠奈】
「かーちゃん、おれたちここいていーの?」
【母】
「まだいいのよー。お兄ちゃんの出番の時に、中央に行きましょ。皆も、分かった?」
【子ども達】
「「「はーーーい」」」
【鞠】
「…………」
此奴ら、何か企んでるな。」
そんな会話をしているうちに、その中央は盛り上がりに極まっていた。
【児玉】
「うおおぉおおおおおお、ソーラン!!!」
【学生】
「「「ソーラン!! ソーラン!! ソーラン!!」」」
【観客】
「「「ソーラン!! ソーラン!! どっこいしょーー!!」」」
…………暑苦しい。
そして最後には特大の人間ピラミッドを作ってフィニッシュ。あれ最下段何人居るんだろ。10人ぐらいかな。失敗したら上段の人達ヤバいじゃん。
成功して何より。素晴らしい盛り上がり。ただ何でソーランした後に人間ピラミッドを作る必要があったのか、朱雀の世界観がよく分からない。けど皆やっぱりソーランが好きなんだろう。細かい事は気になっていない様子だった。
【司会】
「素晴らしいソーラン、ありがとうございました。続きまして――玄武ダンスチーム「Sソウルブラザーズ’31」、パフォーマンスを始めてください!!」
【六角】
「はははははは!! 児玉ぁ、最高だったぜーー!!! だが、お前達の熱気――全て俺たちが戴く!!!」
【学生】
「「「六角ぅうううううううううう!!!!」」」
次は――六角率いる玄武。
あれは、多分ストリートダンス、みたいな部類だろう。若者が取りあえず夢中になる奴だ。私はよくは知らない。
ここでも中心になっていたのは、この体育祭で最も警戒される莫迦。ステップを踏む度、バク転する度、叫ぶ度、狂気に感染したファンたちが発狂している。さっきの暑苦しい熱気の方がまだ純粋で無害だったとよく分かる。
【璃奈】
「あのおにーちゃん、すごいのー?」
【鞠】
「ただの莫迦です。観たら病気になりますから、目を瞑ってた方がいいです」
【璃奈】
「はーい!」
そんな病的な集団、今度は代表者たちによるソロパートに。皆さんキレキレだ。
六角は云わずもがな――ん?
【六角】
「NEXT――GAKUENCHOU☆MIYASAKA――!!!」
【宮坂】
「Ride on time.」
って何で貴方がステージに上がってる!!?
【学生】
「「「GAKUENCHOU~~~!!!」」」
【観客】
「「「FOO~~~~!!!」」」
誰も疑うこともなく、学園長のブレイクダンスパートがはじまった。
いやまあ前会長と仲が良いのは分かるけど、貴方中立でいろよ。
【司会】
「学園長、ありがとうございましたー!! 続いて――青龍ダンスチーム「SDS48」、パフォーマンスを始めてください!!」
……今のところまともなのがないので、そろそろ真面目にダンスしてるものがいい。真面目といっても清純派みたいなのでお願いしたい。
【笑星】
「いええぇええええええい!!!」
【鞠】
「…………」
カラフルなスカートを穿いた雑務が出てきた。
ていうか多分48人居るんだろうけど、全員スカートを穿いた男子だった。
清……純……?
【学生】
「「「きゅーーてぃーーーー!!!」」」
青龍チームが必死に声援を送っている。遠目の限りでは、強いてキュートなのはセンターの雑務ぐらいな気がする。他はちょっと図体がしっかりし過ぎている。
【璃奈】
「かわいーふくー! あたしも、きたい!」
【鞠】
「……似合うんじゃないですか?」
少なくともあの48人の誰よりも。
【観客】
「「「うおおぉおおおおおおおお!!!!」」」
しかし、一体どんな会議の末にこの選曲とコンセプトに落ち着いたのか甚だ謎ではあるけど、結果として先の六角学園長コンビに匹敵する盛り上がりを形成していた。矢張り、雑務にはそういう才があるんだろう。
【笑星】
「へへっ、応援、ありがと~~~!!!」
【男子】
「……やべえ、ちょっと……動悸が……」
【男子】
「あれ……? そもそもあの子、男子なのか? もしかして本当に女子なんじゃないのか……?」
【男子】
「笑星……ちゃんってことか――?」
ただ、アイツはちょっと危ない扉を無差別にオープンし過ぎている気がするけど。
邊見の為にも少し手綱を引いてやった方がいいのだろうか。また悩みが増えた。
【司会】
「可愛いパフォーマンス、ありがとうございましたー!! それでは、ラストです――」
……さて、愈々だ。
【鞠】
「次ですよ。貴方のお兄さんが登場するのは」
【母】
「じゃあ、行きましょうか! お兄ちゃんを、助けに!!」
【子ども達】
「「「はーーーい!!」」」
……助けに?
【司会】
「白虎ダンスチーム「ナミダセカイノフェスティバル」、パフォーマンスを開始してください!!!」